オレ様の世界 シーズン2

常識的な非常識 /マイノリティなマジョリティ / 本音のキレイごと / ラブ・アンド・ディトラクション / ようこそ、オレ様の世界へ

 

育児のストレスがたまりにたまって、ついには家を追い出された話

とある日曜。

午前中、奥さんは出かけていたので、オレは1人で子どもの面倒を見ていた。

 

育児でやることは、大体決まっている。

 

ご飯をあげる。

オムツを替える。

泣いたら飽きたか眠いかなので、遊ぶか寝かしつける。

危ないことをしないように見張る。

 

ざっくりそんなもんである。

 

ところでオレは、決めたことを決めた通りにやらないと気がすまない性格だ。

なので育児をしながら、家事して、副業して、勉強して、と色々やっていた。

 

これがなかなか疲れる。

 

副業しつつ、数分おきに子どもを見て、泣いたら駆け付ける。

子どもをおんぶして、寝かしつけながら勉強する。

寝ているわずかの間に、風呂の掃除をする。

 

異変を感じたのは夕方ぐらいになってからだ。

 

 

 

奥さんは午前中で帰ってきたので、午後は2人で育児をしながら家にいた。

 

ただなぜか疲れていて、何もやる気が出ない。

また、イライラもしている。

 

子どもが泣くたびに耳障りで仕方ない。

「うるさい!うるさい!うるさい!」と、頭の中で怒りの言葉が反復している。

 

子どもは泣くもの。

怒ったって仕方ない。

 

理屈ではわかっている。

だがその日に限って、どうにも耐えられない。

 

「どうしたの?」と奥さんに聞かれたときに、抑えていたイライラがプツっと切れた。

 

「子どもの泣き声がうるさくて仕方ない!

 もうイヤだ!」

と怒鳴っていた。

 

「ちょっと1人でどっか行って来て!」

奥さんに言われた。

 

「えっ、いいよ!

 いるよ!」

反射的に答えた。

 

怒りで頭がいっぱいで、「気分転換しよう」という当たり前の発想に至らない。

意地を張っているような、ただ外に出る余裕さえないような、そんな気分だった。

 

「いいから行って!」

と半ば追い出されるように家を出た。

 

そこから何をしたか、あまり記憶がない。

なんとなくそばを食い、どういうわけか、そばつゆにジャケットの袖口を突っ込んだことしか覚えていない。

 

夜帰って来て、奥さんに「大丈夫」と聞かれ「大丈夫」とだけ答えて、寝た。

 

翌日になって会社に行って、帰ってきて子どもがハイハイしながら出てきたとき、久しぶりに「かわいい」と思えた。

 

育児はそれほど難しくない。

ただちょっとずつストレスがたまる。

 

そのちょっとがいつの間にかたまりにたまってある一線を越えたとき、自分で自分が制御できなくなる。

 

それが怖い。

奥さんがいなかったら、子どもに手を出しかねない状況だった。

 

とりあえず、子育てしながら決めたことをやり切るのはムリだ。

手を抜かないと、ヤバイことになる。