オレ様の世界 シーズン2

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「夜と霧」を読んだら、人生観が変わるほどすばらしかった!ぜひ読んでほしい

「夜と霧」という、ナチス強制収容所での実体験を、心理学者の方が書いた本を読んだ。

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

 

強制収容所の話なので、非常に重い。

読んで、ちょっと想像するだけでも、イヤな気持ちになる場面ばかりだ。

 

なのに、読後感は悪くない。

むしろ、底知れない人間のすばらしさに感動を覚えだ。

 

具体的に説明しよう。

 

ちなみに、思いっきりネタバレする。

 

絶望的な状況でも愛があり、美しさがあり、芸術があり、希望がある

最初は、いかに収容所が悲惨か、こと細かに描かれる。

 

住むところは極めて不衛生で、食べ物も着るものもロクに与えられない。

そのうえ、極寒の中で過酷な労働をさせられるわ、暴力はふるわれるわ、いつ殺されるかわからないわで、とにかくひどい。

 

ところが。

 

 

 

悲惨なだけではないのだ。

そんな暮らしの中に、美や、芸術や、愛や、希望があるのだ。

 

突然、夕日が沈むのを見ながら、涙があふれてくる。

「なんでこんなに自然は美しいのだろう」と。

 

わずかばかりの食べ物をもらえなくても、芸術とは呼べないような観劇や音楽のイベントに参加してしまう。

そして食べ物では代えられない、感動を味わう。

 

過酷な労働を、愛する人を思いながら耐える。

いや、もはや耐えているのではなく、精神が肉体を超越し、頭の中で愛する人と話すことは至福の時間でさえあるのだ!

 

強制収容所を出たら、その経験を本にする」

その到底現実的ではない希望が、殺されなくても死んでしまいそうな状況下で著者を生き永らえさせた。

そして、その夢は本当に実現してしまった!

 

もちろん、みんながみんなそうではない。

それでも結構な数の人が同じように思っていたのだそう。

 

人生観が変わった

読みながら、理屈では説明できない涙があふれてきた。

 

本当に極限の状況で、ナチスに媚びを売る人も、動物的になり下がった人もいた。

だが、ただ生存するためなら不要な、美、芸術、愛、希望により、生き永らえた人がいたのだ!

 

マズローという心理学者は言った。

人間には欲求が5段階あり、本能的な欲求、安全の欲求などが満たされてから、より高尚な希望が持てるのだと。

 

しかし、強制収容所ではそんな段階を踏んではいられない。

本能的な欲求は満たされていないし、安全などどこにもない、極めて危険な毎日だ。

 

なのに、高次な欲求を持ってしまった!

そしてそれが、生きる意味になりえたのだ!

 

人は、オレが思っている以上に底が知れない。

そのことに、形容しがたい美しさを感じたのだ。

 

月並みな言い方だが、人生観が変わった。

 

夜と霧。

 

重く悲惨な話だが、言語化しがたい感動がある。

興味がある人はぜひ読んでほしい。

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版